早稲田大学大学院 先進理工学研究科 先進理工学専攻 一貫制博士課程5年の小宮歩睦です。このたび、2025年9月4日・5日に鳥取大学鳥取キャンパスにて開催された「2025年電気化学秋季大会」において、「Zn負極上ZnO膜形成過程に対する添加剤Li⁺の作用機構の電気化学インピーダンス解析」という題目で講演を行い、優秀学生講演賞を受賞いたしましたので、ご報告申し上げます。
本研究は、次世代蓄電デバイスとして期待される亜鉛(Zn)負極二次電池の性能向上に向けた課題解決を目的としています。Zn負極二次電池においては、充放電サイクルの進行に伴いZn負極表面にデンドライト(樹枝状晶)が成長し、容量劣化や内部短絡を引き起こすことが課題とされています。デンドライト形成の抑制には、放電過程においてZn負極表面に生成する酸化亜鉛(ZnO)膜の電気伝導性を向上させることが有効であると考えられています。これまでに当研究室では、電解液中に適量のリチウムイオン(Li⁺)を添加することで、ZnO中の結晶構造中に格子欠陥が発生し、この構造変化に伴い電気伝導性が向上することを報告してきました。しかしながら、Li⁺が格子欠陥の形成を促進する詳細なメカニズムは十分に解明されていませんでした。
そこで本研究では、電気化学インピーダンス分光法を用いた界面解析により、ZnO形成過程におけるLi⁺の役割を検討しました。その結果、Li⁺がZn放電中に生じる反応中間体を安定化することで反応経路を変化させ、格子欠陥の形成に有利なZnO生成過程を促進することを定量的に明らかにしました。さらに、この効果が、高い電荷密度を有するLi⁺の特性に起因する可能性を示しました。本成果は、デンドライト抑制に向けた添加剤開発において、効率的かつ効果的な分子設計を進めるための指針になると期待されます。
今回の受賞に際し、日頃より多大なるご指導を賜っております本間敬之教授、國本雅宏准教授に深く感謝申し上げます。また、本学会での発表においては、専門分野の異なる研究者の方々も多く参加されており、質疑・議論を通じて研究内容を多角的な視点から捉え直す機会を得ました。こうした貴重な経験および今回の受賞の背景には、PEP卓越大学院プログラムを通じて培った学際的・俯瞰的な視点が大きく寄与していると考えております。研究活動を多方面からご支援いただいているPEP卓越大学院プログラム関係者の皆様に、心より御礼申し上げます。
今後もより一層研究に励んでまいります。