【帰国報告】RWTH Aachen Universityでの研究機関実習について

2026.06.30 / 活動報告
早稲田大学 | 先進理工学研究科 先進理工学専攻 TD4:深澤 亮

早稲田大学一貫制博士課程4年の深澤です。私は2026年4月から6月まで、ドイツ・アーヘンにあるRWTH Aachen UniversityのCenter for Ageing, Reliability and Lifetime Prediction of Electrochemical and Power Electronic Systems(CARL)にて、約10週間の研究機関実習を行いました。

実習では、Prof. Dr. Egbert Figgemeierの研究グループに受け入れていただき、リチウムイオン電池正極材料であるLiFePO4系材料を対象に、機械学習ポテンシャルCHGNetを用いた構造探索および分子動力学計算による構造安定性評価に取り組みました。特に、マンガン添加量や構成原子の配置の違いが結晶構造、局所的な歪み、体積変化、最短原子間距離などに与える影響を調べ、得られた構造の一部については第一原理計算による検証も行いました。

私の普段の研究では、機械学習と組合せ最適化を用いて、ペロブスカイトや有機分子結晶の結晶構造探索問題に取り組んでいます。今回の実習では、普段とは異なる無機のリチウムイオン電池材料を題材とし、電池材料を専門とする研究者の方々と議論しながら、計算結果をどのように材料開発の文脈へ接続するかを考える貴重な機会となりました。滞在の最終段階では、研究室セミナーで英語発表を行い、計算手法、解析結果、今後の展開について多くの建設的なコメントをいただくことができました。

 

研究以外の面でも、多くの学びがありました。渡航前から英会話練習に取り組んでいましたが、実際の研究現場では、専門内容を簡潔かつ誤解なく英語で伝える力が強く求められました。日々の研究室での会話、セミナーでの議論、グループランチでの交流を通じて、英語で研究生活を送る感覚を少しずつ身につけることができました。また、多国籍な研究環境の中で、英語だけでなくドイツ語も含めた現地でのコミュニケーションの重要性を実感しました。

 

さらに、現地での生活を通じて、海外で研究を続ける上で必要な自立性や適応力についても考える機会となりました。困った時には、ラボメンバーだけでなく、街中で出会った見知らぬ方々にも何度も助けていただき、ドイツの方々の温かさを強く感じました。この経験を通じて、今後は日本で困っている海外の方を見かけた際に、自分から積極的に声をかけられる人でありたいと思うようになりました。

休日には、ラボメンバーに勧めていただいたドラッヘンフェルスを訪れるなど、ドイツ西部の歴史や自然にも触れることができました。研究機関での活動だけでなく、現地で生活し、移動し、人と関わる中で、日本の研究環境や交通・都市インフラの良さも改めて認識しました。

 

今回の実習を通じて、専門分野の異なる研究者に自分の計算結果を伝え、議論し、次の研究へつなげる力の重要性を強く実感しました。また、海外で長期間生活しながら研究を進めたことで、自分自身の研究への向き合い方や将来のキャリアについても改めて考えることができました。この経験を、今後の博士論文研究や共同研究に生かしていきたいと考えています。

 

最後になりますが、今回の実習でご指導いただきましたProf. Dr. Egbert Figgemeier、滞在中に多くのサポートをしてくださったNiloofar Hamzelui博士をはじめとする研究室の皆様、受入先をご紹介くださった廣末雅之博士、日頃よりご指導いただいている朝日透先生、谷口卓也先生、ならびに本実習を支えてくださったPEP卓越大学院プログラムおよび早稲田大学の事務局の皆様に、心より感謝申し上げます。