【受賞報告】トライボロジー会議2024

2025.03.26 / 研究報告
早稲田大学 | 先進理工学研究科 先進理工学専攻 TD2:澤木昴

早稲田大学先進理工学研究科先進理工学専攻一貫制博士課程2年の澤木昴です。このたび、2024年10月および11月に開催された「トライボロジー会議2024 秋 名護」において、「荷重が鉄摩擦界面における基油と油性剤の分子構造変化に与える影響のin-situ表面増強ラマン分光解析」という題目で発表を行い、学生奨励賞を頂きましたことを報告させて頂きます。

本研究は、潤滑油の作用機構を「摩擦しながら界面分子を直接観察する」という手法を用いて解析するものです。潤滑油には、金属の界面で作用する添加剤が含まれておりますが、本研究では、当研究室で開発されたセットアップを用いた表面増強ラマン分光法という表面敏感な手法を用い、添加剤の作用機構を解析しました。本手法により、従来の手法では観測が困難であった摩擦時の分子構造を明らかにすることに成功しました。

摩擦に関する課題は、省エネルギー化の観点からも極めて重要であり、世界のエネルギー消費の約 23%が摩擦に起因すると試算されております。そのため、エネルギー消費量が年々増加していく現代において、摩擦を低減する高性能な潤滑油の開発は必要不可欠です。本研究を通じて、次世代の潤滑油の開発および最適な配合に貢献する知見を得ることができました。

また、本研究の主要テーマである「摩擦」は、機械工学、物理学、化学など多岐にわたる学問領域が交差する複雑な分野であり、その研究には広範な視野と俯瞰力が求められます。PEP卓越大学院プログラムでは、本研究に必要不可欠な俯瞰力を鍛える機会を得ることができ、その経験が今回の受賞につながったと考えております。

今回の受賞に際し、日頃よりご指導いただいております本間敬之教授に深く感謝申し上げます。また、研究活動を多方面から支えてくださるPEPプログラムの皆様にも心より御礼申し上げます。今後もより一層研究に精進してまいります。