はじめまして。早稲田大学先進理工学専攻(5年一貫制博士課程)3年の谷口広晃です。
2025年10月1日~2025年12月20日に実施したイタリア、Scuola Superiore Sant’Annaへの研究留学について報告いたします。
本留学では、Scuola Superiore Sant’Anna(SSSA)のFrancesco Greco 博士が主宰するLaboratory of Applied Materials for Printed and Soft Electronics(LAMPSE)にて、レーザー誘起グラフェン(Laser-induced Graphene, LIG)に関する研究に従事しました。
LIGはポリイミドなどの材料にレーザーを照射することで、表面にグラフェン状の導電性構造を直接形成する技術です。薬品や複雑な工程を必要とせず、短時間で高い導電性を持つパターンを作製できるため、フレキシブルエレクトロニクス分野でセンサーウェアラブル機器などへの応用が注目されています。私の所属する武岡研究室ではナノシート電極と呼ばれる薄膜電極を開発し、スポーツ科学や植物生理学への応用を行っています。そこで本留学では、計測機器とナノシート電極をつなぐ配線として薄膜LIGを利用することを考案し、その作製と評価を中心に研究を進めました。レーザーの操作や配線パターンのデザインなど初めて取り組むことばかりでしたが、研究室メンバーのサポートのもと、円滑に研究活動を進めることができました。毎週のグループミーティングで進捗を報告する中で、多角的な視点から助言を得られたこともあり、短期間で多くの実験を実施できました。その結果、当初の目標であった薄膜LIG配線の評価およびそれを用いた測定を完了することができました。一方で、研究を進める中で生じた新たな仮説や疑問点について、時間の都合上、十分に調査・検証しきれなかった点もあります。今後は論文化およびデバイス化に向けて、引き続き共同研究を発展させていきたいと考えています。また、本留学を機に、両研究室ならびに研究機関間の交流が一層活発になることを期待しています。
さて、本滞在は私にとって初めての海外生活かつ一人暮らしとなりました。到着直後は不安も多く、環境に慣れることに必死でしたが、気づけば自分なりの生活リズムを確立し、平日は研究、休日は街に出かけるという日々を楽しめるようになっていました。ほぼ毎週末、一人旅として大小合わせて15以上の街や村を訪れ、もともと興味のあったイタリアの歴史、文化、宗教を肌で感じることができました。2025年はキリスト教カトリック教会における聖年であり、ローマ四大聖堂に設置されたPorta Santa(聖なる扉)の開放を目にする機会にも恵まれました。以上はほんの一例ですが、研究成果だけでなく私生活でも得難い経験を数多く積むことができました。LAMPSEメンバーとは毎日ランチを一緒に取っていたのですが、週明けは旅行の話を共有するのが恒例になっており、おすすめの旅行先を教えてもらうこともありました。非常に仲の良いLAMPSEメンバーに混ざって過ごす日々は刺激に満ちており、研究所のクリスマスパーティーでの時間は、特に忘れられない思い出となりました。
本研究留学は、PEPプログラムの海外長期派遣制度により費用の一部をご支援いただき、実施することができました。ここに記して、深く感謝申し上げます。
最後になりますが、留学にあたり1年以上前からSSSAとの契約締結の準備を進めていただいた武岡先生、計画から帰国後まで一貫して事務手続きでお世話になった先進理工学専攻連絡事務室ならびにPEP卓越大学院プログラム事務局の皆様、そしてイタリアにて3か月間ご指導いただいたGreco博士及びLAMPSEメンバーに心より御礼申し上げます。
旅行先のCinque Terre, Vernazzaにて
旅行先のSan Gimignanoにて
旅行先のAssisiにて
ミーティング後に行ったLAMPSEクリスマス会にて
帰国前に開いていただいた夕食会にて