自然条件に左右される風力発電機および太陽光発電設備を電力系統へ大量導入すると電力系統に対して電圧変動などの影響を及ぼすことが懸念され、その対策が必要とされている。これらの分散型電源が集中的に配電系統に連系された場合、当該系統の電力品質および系統連系に係わる問題が無視できないレベルに顕在化し、導入の制約条件となる可能性がある。従って、双方の発電設備の運用においては、電力系統に係わる不確定性を低減し、電力の安定供給と経済運用を両立させることが望ましい。その有効的な解決策として時系列データ解析及び気象予測に基づく風力発電機と太陽光発電設備の出力電力予測が挙げられる。気象予測情報の使用により、自然エネルギー発電設備の出力電力予測が可能となれば、系統運用計画において電力系統の経済的運用が図れると共に、付加設備のコスト削減が可能である。風力発電機と太陽光発電設備の出力電力予測データを用いた予測対象期間の分散型電源運用法を提案し、提案手法による経済的有効性について検討している。
■予測情報に基づくモデル予測制御(MPC)の実装イメージ
最近の研究として、上図に示すように再生可能エネルギー利用発電の導入量拡大を目的としたスマートグリッド並びにモデル予測制御(MPC:Model Predictive Control)を適用したスマートハウスに関する研究に従事している。具体的には亜熱帯地域における太陽光発電、太陽熱利用機器、熱電ハイブリッドシステム、電気温水器またはヒートポンプを有するシステムを対象として、エネルギーコストおよび二酸化炭素削減を目的とした研究を実施している。さらに、IoT(Internet of Things)やディープラーニング及びAI(Artificial Intelligence)の活用手法の開発が望まれる。これらの研究分野は今後ますます重要となることから、積極的に研究を推進する必要があると考える。以上のことより、我々の研究室は今後もこれまでの研究成果を生かして、社会に貢献できるような研究に取り組む所存である。