IPCCの2℃シナリオの2050年までにCO2排出量80%削減を目指すためには再生可能エネルギーを基盤とした新たなエネルギー技術やモノづくりの技術が必須です。現状技術で太陽光や風力の導入による電力需給のインバランスを解消することが困難であるためです。
水素は水と電力から製造可能で、水素関連の技術により大量にエネルギーを貯槽、輸送したり、工業プロセスに結びつけたりすることができます。地産地消の再生可能エネルギーの有効利用も重要ですが、日本の産業を維持するための絶対量を確保するためには海外からの再生可能エネルギーの輸送も含めた水素エネルギー社会を構築する必要があります。
電気化学は電力を化学エネルギーに直接相互変換するプロセスであり、水電解と燃料電池はそれぞれ水と電力からの水素製造と水素と空気(酸素)から発電するキーテクノロジーであります。また、これらの技術を応用して有機物の水素化、脱水素など工業的に有用なプロセスへの展開も可能です。
当グループでは、再生可能電力を用いて水素や化学品を製造するアルカリ水電解、固体高分子形水電解、エネルギーキャリア合成としてのトルエン電解水素化並びに水素利用技術として固体高分子形燃料電池の教育研究に取り組んでいます。具体的には、再生可能電力の変動に対応するための電極触媒材料の劣化機構解析や新たな省貴金属あるいは非貴金属系酸化物酸素電極触媒の開発を行っています。