気候変動問題に対する新しい取り組みとしてパリ協定が発効され、各国はそれぞれの温室効果ガス排出削減目標を掲げ、その実現に向けて取り組むこととなった。その方策の一つとして再生可能エネルギーが期待され、風力発電、太陽光発電を中心として各国で導入が急速に進んでいる。わが国においても、第5次エネルギー基本計画において再生可能エネルギーの主力電源化が示され、更なる導入拡大が予想されている。一方で再生可能エネルギー発電の出力は天候に左右されるため、それらが大量導入された電力システムを安定に運用するためには、再生可能エネルギー発電の出力変動特性を踏まえた電力システムの計画や制御手法を構築するとともに、これを効率的に行うための再生可能エネルギー発電の出力予測の高精度化・高信頼化が不可欠である。さらに、電力需給状況に応じて電力需要を能動的に変化させるエネルギーマネジメントの導入が重要となる。当研究室では、これらに関して、主に以下のような研究を行っている。
1.電力システムの計画と制御について
- 再生可能エネルギー発電の出力予測の不確実性に対応するための発電機起動停止計画手法の構築
- 再生可能エネルギー発電の短周期の出力変動特性を踏まえた電力需給運用方法の構築
- 人口減少やエネルギー需要の変化を考慮した将来の電力需要の時間・空間分布の推定モデル構築
2.再生可能エネルギー発電の出力予測とその利用について
- 数値気象予報モデルに基づく再エネ発電出力の前日予測手法の構築
- 衛星画像や天空画像に基づく再エネ発電出力の数時間前予測・現状把握手法の構築
3.電力需給運用に資するエネルギーマネジメント手法について
- 電力需給運用に資する太陽光発電用スマートインバータの開発
- 再生可能エネルギー発電の出力予測に基づくマイクログリッドのエネルギーマネジメント手法の構築
- 消費者の受容性を考慮したエネルギーマネジメントのポテンシャル評価
配電エリア単位の電力需要時系列データの推定モデル