電気は,社会活動の持続的発展にとって,また各種機器にとって必須エネルギーである。近年では,直流高電圧・大電流化,多頻度使用,地球温暖化および分散型電源の遠隔設置などに対して,様々な解決・現象解明が求められている。私たちは,これらに関わる物理・化学・電気現象を解き明かすこと,新計測・新適用技法を考案すること,新しい応用分野を創出することなど,多くの研究テーマに取り組んでいる。
■ 研究内容:大電力,大電流制御(高エネルギーを操る)
・各種高温ガスにおける熱分解粒子・熱力学・輸送・電気絶縁特性の解明
・車載DCモータのブラシ・整流子片開離での電圧・電流過渡推移解明
・自動車内DCシステム用ヒューズの高電圧下電流遮断
・電力システムにおける環境調和型アーク遮断技術(SF6代替ガス),
・大容量スイッチング機器の小型化指針
・直流大電流スイッチング技術の研究開発とメカニズム解明
■ 研究内容:次世代の機器・診断技術(未来技術を開拓する)
・ACおよびDC消弧室内アークの診断法開発
・電力システムへのIGBT・SiCパワー半導体適用技術の開発
・直流限流器の回路考案,新素材の適用技法
・電磁界数値解析手法の高精度化
■ 研究内容: 配電・受配電システム(分散型電源との協調)
・太陽光発電装置が多量接続された配電系統の特性とその運用
・次世代直流給受電ネットワークの特性解明
・再生可能エネルギー利用発電装置分散導入時の電力品質
これらの研究を,私の他,助教1名,博士課程後期課程の学生3名,博士課程前期課程の学生6名,学部4年生3名とともに推進している(人数は2018年度時点)。
本研究室は大電流・エネルギー制御工学を基盤とし,電源として交流・低電圧直流大電流装置を所有し,大電流遮断アークなどの現象を実験室で実現し,探究している。高速度ビデオカメラシステムあるいは微弱スペクトル過渡推移検出システムなどの測定装置によって,現象解釈を深めている。
数値計算によっても研究を推進している。Gaussian, MATLABおよびLTSpiceなどを駆使して,分子定数解明,半導体応用および太陽光発電装置の適正運転などを検討している。また,研究室独自で開発してきたプログラムによって,高温ガスの化学組成・熱⼒学・輸送特性,大電流アークの消滅過程およびDCモータでの整流子電流の過渡推移などを数値解析している。