ナノエレクトロケミストリーによる新規エネルギーデバイス創製

本間 敬之
早稲田大学 大学院先進理工学研究科 応用化学専攻・教授

当研究室では固液界面(電極界面)や液液界面反応に着目し、その解析や反応場の設計を通じた材料・デバイスの創製や、反応プロセスの構築に取り組んでいます。主にナノ・マイクロファブリケーション技術と電気化学反応に基づいた新規な高機能薄膜・ナノ構造体の創製、太陽電池用の高純度シリコン製造を目指した新しいプロセス開発および反応解析、大規模蓄エネルギーデバイスとしての革新型二次電池の電極界面における反応機構の解析と最適化設計、さらに計算化学的手法および表面増強顕微ラマン散乱分光法を用いた固液界面反応系の実験的・理論的などを中心テーマに研究を展開しています。

 

〈ナノ・マイクロファブリケーションプロセス〉

電子線リソグラフィー等の微細加工技術と電気化学反応(電解、無電解析出)を組み合わせたファブリケーションプロセスを開発し、新規ナノ機能材料・デバイスを創出しています。例えばマイクロ熱電変換デバイス、大規模蓄電用Zn二次電池系、強磁性ナノドットアレイ型超高密度データストレージデバイス等の創製に取り組んでいます。これらの研究では材料・デバイスの高機能化に向けて、いかに界面反応を制御するかが鍵を握っています。

 

〈新規太陽電池用シリコン生成プロセス〉

太陽電池用の高純度シリコン(純度99.9999%以上)を製造するプロセスとして、偏在性の少ないSi資源を利用し、低コストかつ低エネルギー消費を実現可能な、流路型デバイスによる高純度シリカ精製プロセスの研究を行っています。3Dプリンタにより流路デバイスを設計・形成し、流体挙動を制御して溶媒抽出を行うことで、半導体特性に影響する極微量不純物の高精度除去プロセスを実現しています。また太陽電池用Si薄膜を形成するプロセスとして、非水溶媒(イオン液体および有機溶媒)からの電解析出反応に注目しています。特に放射光分光を利用したSi電析反応メカニズムの解明や、電析条件による半導体特性制御を中心に研究を展開しています。

 

〈固液界面反応機構解析〉

電極反応(電解析出や電池反応)は固液界面という特異な反応場で進行するため、その界面現象を解析し、理解することが材料・デバイスの特性向上やプロセスの最適化設計に不可欠です。このような観点から実験および計算化学的手法を駆使した界面反応機構の解析に取り組んでいます。例えば電極反応の進行顕微Raman分光によりその場解析可能なセンサを開発し、二次電池の特性に大きな影響を及ぼす負極上での電解液分解や極薄被膜生成過程の解析を進めています。また計算化学(DFT計算)に基づき、電解・無電解析出プロセスに用いられる錯化剤や添加剤が電極反応に及ぼす影響を理論的に解明しています。

 

強磁性ナノドットアレイ

マイクロリアクター

マイクロ熱電変換デバイス

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本間 敬之

ほんま たかゆき

早稲田大学 大学院先進理工学研究科 応用化学専攻・教授

副プログラムコーディネーター
専門:機能表面化学

KEYWORD
電気化学的手法による機能ナノ・マイクロ構造の形成とデバイス応用
大規模エネルギーデバイス用新規電極反応系の開発と最適化設計
計算化学的手法および顕微ラマン分光法による固液界面反応ナノスケール解析
略歴
1987年 早稲田大学理工学部応用化学科卒,
1992年 同大学院博士後期課程修了(工学博士),
1991年 早稲田大学理工学部応用化学科助手,
1993年 同専任講師,
1996年 同助教授,
1997-1998年 スタンフォード大学客員准教授,
1998年- 米国国立科学財団シリコンウェハ工学研究センター(NSF-I/UCRC-SiWEDS)兼任研究員,
2003年- 同大学院ナノ理工学専攻担当,
2005年 早稲田大学理工学部応用化学科教授
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