横浜国立大学、化学・生命系理工学専攻博士課程1年の平間暁月です。
このたび、2025年10月22日~24日に開催されました「第49回有機電子移動化学討論会」おいて、「ハロアントラセンの電気化学的ハロゲン結合性相互作用を利用した触媒的C-N結合形成反応の開拓」という題目で発表を行い、優秀ポスター賞を頂きました。合わせて、12月8日~10日に開催されました「Material Research Meeting 2025」においても、”Electrocatalytic C-N Bond Formation Reaction Catalyzed by Halogen Bonding Interaction of Haloanthracene Mediator”という題目の発表で優秀ポスター賞を頂きましたので、ご報告させていただきます。
私が所属している研究室では「電気を用いた分子変換」を取り扱っており、本研究ではこのような電気化学的な分子変換を促進する新たな分子触媒を開発することに成功しました。
電気を使った化学変換(有機電解合成)は、熱を利用する方法に比べてエネルギー効率が高く、再生可能エネルギーを利用できることから、持続可能なプロセスとして注目されています。さらに、電気を流すことで電極の表面で分子から直接電子を取り去ったり(酸化)、与えたり(還元)できるため、従来必要とされていた酸化・還元剤を使用しない点でも環境にやさしい反応プロセスです。このような有機電解合成は、反応器に流す電流値によって反応の速さを、加える電圧によって反応に与えるエネルギーの強さを制御できるという特徴があり、有用な化合物の合成に向けて、さらなる発展が期待されます。
しかし、この有機電解合成では、電極表面が反応の途中で汚染されてしまうことや、しばしば必要以上のエネルギーを加える必要があるなどの課題が存在します。本研究で開発した分子触媒は、これらの課題を解決することができるもので、分子触媒の反応性(ハロゲン結合性相互作用)が電気化学的にスイッチングする新たな性質を備えています。
今回受賞に至った研究内容は以前にも研究報告をさせていただいたもので、相互作用については以前の記事にも記載させていただきましたので、目を通していただけますと幸いでございます(https://dpt-pep.w.waseda.jp/activity/5963/)。
以前の報告から反応メカニズムに関する知見を深めることができ、反応の過程で電子とプロトンが協奏的に移動することで反応を促進していることが明らかになりました。
有機電解合成に使用する分子触媒には明確な設計指針がありませんでしたが、本研究で報告した「電気化学的にスイッチング可能な相互作用」は新たな分子触媒設計として、電解反応のさらなる発展に貢献することが期待されます。
今回の受賞に際し、日頃よりご指導いただいております跡部真人教授・信田尚毅准教授に深く感謝申し上げます。ならびに、研究活動を支えてくださるPEPプログラムの皆様にも心より御礼申し上げます。
博士課程に進学し、現在はこれまでと異なった内容の研究を進めています。今後もより一層研究に励み、多くの成果を上げて成長できるよう邁進してまいります。


