【受賞報告】第39回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウム

2026.07.06 / 研究報告
早稲田大学 | 先進理工学研究科 ナノ理工学専攻 TD3:鈴木 律兵

早稲田大学先進理工学研究科ナノ理工学専攻博士課程1年の鈴木律兵です。この度、1月に宮城県仙台市で開催された第39回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウムにおいて、「X線吸収分光法を用いた電流駆動磁化反転デバイス用電析CoNiPd薄膜の構造と磁気特性の解析」という題目で発表を行い、JSR2026学生発表賞をいただきましたことをご報告いたします。

 

本研究では、次世代型磁気メモリ応用を見据え、電析CoPd薄膜にNiを導入して磁気特性を制御し、その変化の要因を構造と磁気特性の両面から明らかにすることを目指しました。実験では高エネルギー加速器研究機構(KEK)に設置されている放射光施設 Photon Factory のビームライン(BL-9A/BL-16A/BL-19A)を用い、X線吸収分光法により元素選択的に局所構造および磁気モーメントを評価しました。得られた知見を基に、Ni導入が各元素周りの局所構造と磁気モーメントに与える影響を整理し、さらなる特性改良に向けた指針について考察しました。本研究の成果は、情報処理にかかわる電力消費の低減につながることが期待されます。

 

本研究課題は、人工知能の急速な普及などに伴って増大するデータ処理需要とそれに伴う電力需要の拡大を背景として、大容量・高速動作と低消費電力を両立する磁気メモリ材料の創製を目的とした基礎研究です。社会課題への問題意識を起点に、今回のような基礎的な研究テーマを設定し、研究として具体化できたことには、PEPプログラムで培った分野横断的な視点が大きく寄与していると感じています。特に、材料分野にとどまらず電力・エネルギーの観点も含めて知見を深められたことが、研究課題設定の基盤となりました。

 

今回の受賞にあたり、日頃より丁寧にご指導いただいております本間敬之教授に心より御礼申し上げます。また、本研究の実施に際しては高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所の皆様に多大なるご支援を賜りましたこと、深く感謝申し上げます。さらに、早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構、名古屋大学、東京科学大学、岐阜大学の皆様からも貴重なご助言と実験面でのご協力をいただきました。この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。最後に、充実した支援体制のもと、研究生活のさまざまな面でご支援くださっているPEPプログラムの皆様に心より感謝申し上げます。今後も、PEPプログラムで培った知見を活かし、より良い研究成果の創出に向けて一層邁進してまいります。