【受賞報告】表面技術協会第150回講演大会

2025.03.24 / 研究報告
早稲田大学 | 先進理工学研究科 ナノ理工学専攻 TD1:鈴木 律兵

早稲田大学先進理工学研究科ナノ理工学専攻修士1年の鈴木律兵です。この度、9月に北見工業大学で開催された表面技術協会第150回講演大会において、「CoPt極薄電析薄膜の磁気特性と表面形態に対する添加剤効果の解析」という題目で発表を行い、第26回優秀講演賞を頂きましたことをご報告いたします。

本研究は、次世代の磁気メモリである縦型磁壁移動メモリへの応用を視野に入れた基礎検討として、添加剤を用いて磁性極薄膜の電析プロセスを制御することを目的としています。今回の講演では、主に膜厚数nmで高い垂直磁気異方性、平滑性を備えたCoPt薄膜の作製手法と、その微細構造の詳細評価に基づく磁気異方性の起源の考察を報告いたしました。縦型磁壁移動メモリは従来のメモリと比較して高い記録密度かつ高速な動作が可能です。さらに不揮発性を有するため、消費電力の低減が可能であり、デジタル化が進む中で情報の記録再生に関わる電力の削減に大きく寄与することが期待されています。

今回頂いた賞は40歳未満の若手研究者を対象に授与されるものですが、修士1年の段階で頂くことができたのは、PEPプログラムで培った俯瞰的な視点や、研究を事業創造へつなげるという観点が大きく寄与したと感じています。特に、研究背景をより広い視野で捉え、研究の位置づけを明確に示すことができたのは、マテリアル系だけでなく電力系についても知見を深められたおかげだと強く実感しています。

今回の受賞に際し、まずは日頃より丁寧にご指導いただいている本間敬之教授に心より感謝申し上げます。また本研究は、早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構、高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所、名古屋大学、東京科学大学、岐阜大学の皆様のご協力のもとで進めることができました。この場をお借りして、各機関の皆様の日頃からのご助言や実験におけるサポートに対し深く感謝申し上げます。最後になりますが、充実した支援体制を整え、研究生活の様々な面でサポート下さっているPEPプログラムの皆様に心より感謝申し上げます。今後も、PEPプログラムで培った知見を活かし、より良い研究に一層励んで参ります。