修了生インタビュー 菅原 大知さん

2024.10.22 / 近況
東北大学 |

菅原 大知さん 2023年度修了(現職:東北電力ネットワーク)

電力系/東北大学 斎藤研究室

 

Q. PEPへの参加を決めたきっかけは何ですか?参加してみてどうでしたか?

参加を決めたきっかけは二つあります。一つ目は、私が所属する研究室には博士の先輩がおらず、また、同期にも博士課程に進学する人がいない状況だったことです。博士課程進学者同士の横のつながりが欲しいと思っていた際にPEPプログラムを知り、参加しました。あいにく、進入した年は新型コロナウイルスによる規制のため、必修科目がオンライン実施となってしまっていましたが、翌年以降は対面でいろんな人と会話をして、コミュニケーションをとることができました。
二つ目はPEPの制度であるRA(Research Assistant)費の支給があったことです。博士課程に進学するにあたって、やはり学費や生活費に対する不安を持っていました。PEPへの参加後、RA費には実際に大きく助けられ、経済的な不安を持たずに研究活動に専念することができたことはありがたかったです。

 

Q2 PEPの必修科目を受講した感想について教えてください。

ビジネスの創造について学ぶ「事業創造演習」と、実際に企業や研究機関で講義を受ける「高度技術外部実習」、「電力・エネルギーマテリアル現場演習」が特に印象に残っています。
「事業創造演習」では、オフラインで集まってグループワークを行いました。参加者全員、ビジネスアイデアを考えて形にすることは初めてだったので、必死にアイデア出しから頑張ったこともあり、かなり印象に残っています。アイデア出しからビジネスの立ち上げまでのプロセスを学び、産業創出力を養うことができたと感じています。
また、「高度技術外部実習」、「電力・エネルギーマテリアル現場演習」では、電力エネルギーマテリアル分野の専門家であり、第一線で実際に活躍されている企業の方々の授業を受けることができた点が良かったです。大学では受けることのできない、貴重な経験だったと感じています。
これらのPEPの必修科目を通して、融合力・俯瞰力・産業創造力は特に身に付けることができたと思います。これは、東北大学に在学していただけでは、なかなか身に付けるのは難しい力だと思います。

 

Q. PEPを通して、どのような出会いがありましたか?

学生同士では連絡先を交換し、「今度留学に行くよ」等の近況報告など、コミュニケーションをとることができました。当初期待していたとおり、PEPの仲間を得ることができました。
コンサルティング教員(※企業等在籍・出身教員)の存在もありがたかったです。研究の難しさは色々ありますが、企業との共同研究を進めるにあたり、産業界のニーズを学術的な課題として落とし込んで、アカデミア独自の新しい価値を創造するという点に苦労していました。論文誌の投稿にあたり、コンサルティング教員にディスカッションをお願いさせていただいた際に、産業界ならではの視点から意見をいただき、論文での議論により深みを持たせることができたことは、特に印象に残っています。
また、先日、修了生として「PEP交流の会」にも参加しました。在学生・修了生との交流はもちろん、先生方とお話しする貴重な機会を得ることができましたし、これからも交流を続けていきたいと思います。

 

Q. 今の職業を選んだ理由とキャリアイメージについて教えてください。

学部生時代から、漠然とですが電力会社で給電系の仕事に従事してみたいと考えていました。ただ、博士課程に進み、大学、研究所、企業など、どこへ進むかはかなり悩みました。研究を進めていく中で、自身の研究を社会実装することで安定な電力需給運用に貢献したいという思いが強くなり、それらを実現できる企業として現在の就職先企業であるネットワーク会社を選びました。
現在は、専門分野である給電系の仕事ではなく、変電業務に従事しています。変電所の巡視などの現場業務の経験をしっかりと積んだのち、いずれ給電系の業務に進んで、技術・研究面から安定な電力需給運用を支えていきたいと考えています。
PEPの必修科目「高度技術外部実習」のうち産業技術総合研究所で実施された授業では、大学の研究室OBの方が講義をしてくださいました。実習をきっかけに、アカデミックと研究所の比較等、キャリアの相談に乗っていただくことができ、大変参考になりました。PEPが無ければそのような機会も無かったと思うので、参加して良かったと感じています。

 

Q. 後輩たちにメッセージをお願いします

現在、PEPに参加しようか迷っている方もいると思います。私は、PEPを通じて、同じ博士課程の仲間を増やすことができたことに満足しています。仲間がいるということは、短期的な目線では就活関係でコネクションができるなどのメリットがありますが、長期的な目線では就職後に、色々な相談ができる相手が増え仕事の幅が広がるという大きなメリットが待っています。また博士課程は悩みが多くなりがちであるので、相談相手が一人でも多くなるというのは大きな魅力だと思います。
そして、学生のみなさんには、自分のアイデアを育てられる博士課程の期間を大切にしてほしいと思います。企業に勤めてしまうと、考える時間がなかなか取れません。また、組織としての意思決定や、納期・コスト等の現実的な制約もあり、自由に考えること自体が難しくなります。だからこそ、博士課程の3年間は、個人が自由に考え、そのアイデアを仲間との議論を通じてふくらませることができる貴重な時間であると感じています。ぜひ今の環境を大切にしてください。